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真・東方神居祭に参加します! 

サークルスペースは「え-16」、なんと端っこいただきました!


今回出させていただくものは既刊いくつかと新刊小説一冊です。

漫画は既刊のみになりますが、それでも一番新しいものはこの前の例大祭に向けて作られたものですよ。

まだ御覧になっていない方は、是非お立ち寄り下さい。


新刊小説のタイトルは「にとりVSメカにとり」です。

お察しの通り、にとり本です。

あと、全体的に軽めに仕上げてあります。

バトルもの、メカものはやっぱり難しかったですが、色々な方のお陰でちゃんと形になりました! ありがとう!



↓サンプル

にとりVSメカにとり表紙

 重たい鉄の扉がひらく鈍くて冷たい音がする。ひんやりと乾いた空気が室内から一目散に逃げ出していった。入れ替わるように、人型の影がアクリルの床にぼうっと浮かび上がる。それはゆっくりと闇に溶けると、痺れるような音と一緒に消えた。
「にとりちゃん?」
打ちっぱなしのコンクリートで作られた壁には、初夏の訪れを感じさせない陰気な汗の染みが浮いている。
「んもう、電気も点けないで……」
鍵山雛は渋い顔をした。それもそのはず、彼女は今日、この研究所兼自宅の主である河城にとりに呼ばれてここまで来ているのだ。本人がいないとなれば、温厚な彼女でも素直に笑って許せはしない。
「……いる、よね? ……へへ……」
わざと大きな声を出してみる。何かがおかしいような気がして、不安だ。にとりは他人を騙したりするような妖怪ではない。どちらかと言えば正直すぎて損をすることだってあるくらいだ。だからこそ、雛は不安に思う。自分が間違えているかも知れない、実は待ち合わせが今日ではなくて昨日だったら、と。高鳴りが張り詰めて部屋中にこだましたとき、研究室の一番奥で何かが動いたように見えた。
「にとり、ちゃん?」
ラボの中はどうやったって暗い。灯りがなくては日中だって何も見えないほどだ。幾つかの機材に電源が入っているらしく、そのランプの点滅だけがホタルのようにゆらめいて、はかなく雛を導いている。
「……返事してー?」
さらに一歩、前へと進み出る。もう帰りたい。彼女はそう思った。仮に彼女との約束が今日だったとしても、家の前にいればいずれ気付いてもらえるだろう。帰ってしまったとしても、明日また、彼女がいるタイミングでここに来ればいい。
「いないなら、帰るよー?」
雛がそう大きな声で告げる。その刹那、彼女の数メートル先で何かが急にまばゆく光り始めた。
「まぶっ……!」
赤い警報灯が暗がりに慣れ始めていた彼女の目に突き刺さる。加えて警告音も鳴りだした。今度は耳を襲う。うわんうわんと不快な重低の不協和音が建物を揺らさんばかりに響き渡る。雛は思わず耳を押さえてうずくまった。
「な、なんなのよこれ!」
「ホカクします」
ざらざらとした無機質な声がした。それは闇の向こうから、同じことばを素早く繰り返しながら迫ってくる。
「え、え?」
雛はそれに動揺を隠し切れず、情けない声を漏らして尻餅をついた。
「ホカクします」
静かに、それでいてはっきりとエンジン音が聞こえる。
「ホカクします」
パトランプがだんだんと大きくなっていく。
「ホカクします」
カリカリと音を立てて、得体の知れないものが彼女に迫ってくる。
「ホカクします」
「い、いやー! 助けて、にとりちゃーん!!」
「そこまで!」
 ぱちん、と柔らかい音がする。同時に部屋の明かりがともる。
「え、に、にとりちゃん?」
雛の目の前には、河城にとりが立っている。
「……にとり、ちゃん?」
彼女の驚きは、徐々に疑問に変化していく。
「じゃ、ない……?」
彼女の視線の先にいた「河城にとり」は、目鼻立ちは確かに似ている。ただ、異常に伸びた腕が今にも雛の首を捕まえようとしているのは、明らかににとりのとる行動ではない。それに、目から光が失われてしまっている。乾燥して鈍っているのか、あるいは度重なる徹夜、工作のし過ぎで瞳まで充血してしまったのだろうか。服もなんだかメタリックな印象を受ける。蛍光管の放つ光を反射してみせていた。
「……だれ、あなた」
雛はゆっくりと立ち上がると、対峙したそれのだらりと彼女の方へ伸びている腕を払いのけた。
「ホカク」
「そこまでだってば」
にとりのようなものの影から、それによく似た何かが顔をのぞかせた。
「ひぃっ!」
「わたしだよ」
その影は思わず顔をしかめた雛に声を投げる。
「え、にと、り、ちゃん?」
その声はたしかに聞き覚えのある河童のものだ。
「え?」
彼女はその影を凝視する。
「二人?」
雛がそうしているように、にとりも彼女を見ている。
「驚いた?」

↑サンプル



文庫本サイズで120ページ足らずの短編です。

短編ですが、4万字まであと数百字だったので、ほぼ長編と言ってもいい(ごまかし)

表紙絵、挿絵はいずれもS.A村井氏に依頼しました。素敵な絵です。



繰り返しにはなりますが、

9月1日(日)、真・東方神居祭「え-16」K.K帝國で、新刊小説引っ提げてお待ちしております!

是非お立ち寄り下さい。

記:東谷



追伸:ここ一年くらい名前表記ぶれを起こしていますが、これからは「東谷蓮治」で通そうと思います。いままでのものをわざわざ直すつもりもありませんが、これからは、ということで、一つよろしくお願いいたします。

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